大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

岐阜家庭裁判所高山支部 昭和31年(家イ)27号 決定

申立人 横田正文(仮名)

相手方 横田ミネ(仮名) 外一名

主文

相手方等は申立人が横田家に持参した別紙目録記載の物件につき、善良なる注意義務を以て保管し、滅失、毀損、等せしむることなく又一切の処分をしてはならない。

(家事審判官 中尾義正)

別紙目録〈省略〉

申立の実情

一、申立人及び相手方は昭和三一年○月○○日○○市○○○町塚本太郎仲介により養子縁組、婚姻の挙式をなし同日同棲した。相手方横田時子は相手方横田ミネの養女であること時子には先々夫の子(女)一人ありそれは横田の家で養われていること時子は先々夫一郎と、先夫忠夫と離婚していること等総て承知の上で仲人の「相手方は二人共良い人である財産もある」との言葉と、相手方家の懇望により入婿となつたもので入籍手続は昭和三一年○月○○日了したものである。

二、然るに相手方時子は申立人と挙式の翌晩より就寝時になると外出支度をなして数時間家を空け、申立人がそれを質すると裁縫に行つたと答えるのみで挙動に不審あり、申立人との夫婦関係も拒絶すること多かつたので疑問に思つていた処時子には申立人の来る前から男がありその男との関係が続いている噂を聞き時子の挙動が納得出来る様になりましたその為時子の虚言や不貞な行動を指摘して何とかならんものかと養母ミネに告げ、ミネが時子に注意するに及んで時子は申立人に対し「お前と一緒に居る意思はない」と言明した、よつて申立人は相手方時子の行為は申立人に対する侮蔑であるとして五月下旬に至り実家に帰つた。

三、その後申立人は仲介を通じ相手方に対し、離縁離婚を申出た処「今迄の問題は解決済である」と称し申出は拒絶されたその後再三相手方に要求した処相手方ミネは「時子は実家に戻すからお前だけ帰つて来てくれ」との事で申立人之を承知で赴いた処(○月○日のこと)ミネは「そんなことは言つた覚えない」とのことで又々実家に戻つて居た、その後の交渉に於て相手方ミネは余りに勝手一方の条件を持出し今日に至つたが申立人は今更相手方と復縁する意思は毛頭ない、又示談成立も望めない現状である。よつて相手方の不誠意によつて生じた精神的、肉体的有形、無形の苦痛に対する補償を併せて趣旨の如き申立をする、追つて時子はミネ言明の通り実家に戻つているものであります。

尚申立人が横田家に持参した所有物件は現在その儘になつておりますが従来の相手方の行動から判断して之を滅失、毀損せしめる虞れが充分ありますので調停手続終了迄相手方に対し適当な保管方法その他の処置を御下命相成度く併せて申立します。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例